2020-01-01から1年間の記事一覧

更地の先に

とある絵 生まれた国の記憶を背負い生きる天文学者が 認知症の妻の肩を優しく抱き締めている 記憶に生きる夫 喪失を生きる妻 天文学者は 遥か遠くに輝く数億年前という気の遠くなるような壮大な過去に放たれた光を探求しその宇宙の記憶を解析し分析しつつも …

更地 経過報告

緊急事態宣言以降 公演が中止となり その後 更地はリモート稽古を行ってきた しかし先々月から通常稽古を開始 月に1〜2回 冒頭から中盤の返し稽古を中心に続けている 本番日が未定のまま稽古を続けるのは初めてで 稽古期間が一年を越えるのは「光る道」以来…

新作配信のご案内

芥川龍之介「トロッコ」アップ致しました 演目を「六の宮の姫君」から「トロッコ」に変更した経緯はこちらに記して参りました ※詳細はこちら 「トロッコ」実は言葉の景色を旗揚げを考え始めた時期 語る演目として先ず最初に思いついた作品であります 芥川が…

2020.10月 芥川龍之介「トロッコ」

「トロッコ」は言葉の景色旗揚げを考え始めた時期 語る演目として先ず最初に思いついた作品 ※演目を「六の宮の姫君」から「トロッコ」に変更した経緯はこちらに記して参りました 詳細はこちら 芥川が掬い上げる 誰もが心の奥に秘めるかつての景色 胸をくすぐ…

2020 記憶ノ肖像 二部作

コロナのため中止となった公演 幻の舞台 ここのブログに経緯や またその後の思ったことを都度記してきた ※記憶ノ肖像に関する記事一覧はコチラ 本番を迎えてはいない がしかし 2020年の僕らの日々 その痕跡を ここ「公演記録」に残す 必ず 上演する ーーーー…

2020.10月 ご案内メールより

拝啓 秋冷の候 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます お忙しい中 失礼させて頂き 新作配信のご案内をさせて頂きます 今回は芥川龍之介「藪の中」と太宰治「貧の意地」です 舞台活動の再開 未だ厳しい状況にあります 僕らに何ができるのか 日々問い掛け …

「更地」の稽古をしていると 細胞に刻み込まれた衝動と対峙する場面が幾度となくでてくる

無意識の中で生存の危機を感じ 本能的に相手を攻撃する(してしまう) そして そこには快楽が伴う 己が否定される前に ことさらに 過剰に 攻撃する この構図は時折見受けられる 歴史の中にも 僕らの些末な日常の中にも 文化 主義主張の異なるもの 色 形状の…

六の宮の姫君9

間に合わない 演目を変える 姫の虚無に 僕の虚無の一部が重なった これが取っ掛かりであった これを僕は「共感」であると思っていた しかし ある程度までは近づけるのだが 幾つかの細部で綻びが出る その綻びから 僕が想像する(した)あらゆる景色が姫の虚…

六の宮の姫君8

朝稽古 六の宮の姫君 導かれない いくら稽古をしても僕の肉体や呼吸がどこにも導かれない 「羅生門」や「藪の中」のようなことが起きない 藪の中に至っては登場人物が僕の内部で暴れ 彼に合わせ潤色さえ施したのだ(詳細はコチラ) 姫君の肉体が希薄だからで…

2020.9月 芥川龍之介「藪の中」

意図的な虚偽 無意識的記憶のすり替え 立ち振舞の誤認 言葉の聞き間違え 信仰とも取れる思い込み これらが複雑に交わり絡み合い ひとつの事実から様々なプリズムが生まれる 我々の日常においてさえそれは容易に起きるのだから 眼前の凌辱という極限状態とも…

語り 芥川龍之介「藪の中」 配信開始のお知らせ

新作配信 先んじてこちらにご案内させて頂きます 今回は 芥川龍之介の「藪の中」です 意図的な虚偽 無意識的記憶のすり替え 立ち振舞の誤認 言葉の聞き間違え 信仰とも取れる思い込み それらに加え 三者の告白には微細な心のゆらぎ 震えをも見え隠れし その…

無理だろうけれど

たったひとつの唄が流れるだけで 過ぎ去ってしまった景色が鮮明に蘇る 懐かしくて ただただ懐かしくて ぼんやりと耳を澄ます もうそこに僕はいなくて しかしそこにいた時の匂いは妙にリアルで その時 いまの未来などは一切見えていなくて いつの日か 今日と…

六の宮の姫君7(修正/覚書として)

他者を尊敬することができない不幸 誰からも愛情を注がれたことがない荒廃した生活の中で育まれた憎悪 その憎悪に 他者を尊敬する心は生まれ難い 愛情を注がれることがあまりに当たり前の生活の中で育まれた自尊心とその自尊心に伴う傲慢さ その傲慢さに 他…

六の宮の姫君6

六の宮の姫君3で「羅生門」と対比させ書いたが 今日は「往生絵巻」と比べてみたい 姫君は死の間際 乞食法師に「往生のため仏名を唱えなされ」と言われる が 姫君は一心に唱えない 最後は成仏せぬ魂として描かれ 幕が下りる 「往生絵巻」は 殺戮を繰り返して…

2019 「班女」 お礼状より

この度はお忙しい中、世 amI×身体の景色vol.1「班女」へ、 ご来場頂きまして誠にありがとうございました。 無事千秋楽を迎えることができました。 9ステージ、舞台上には毎回異なる風が吹いておりました。 そしてその風に導かれる俳優の呼吸は、お客様の呼吸…

ドラえもんについて

空を眺めていたら 青い空と白い雲のコントラストが ドラえもんであることに気付いた となると 黄色い鈴は月で 赤い鼻は太陽となろう その気付きと同時に 藤子不二雄さんのお弟子さんがインタビューで 「ドラえもんは丸い円、球体のみで造形されたキャラクタ…

六の宮の姫君5

希薄さ 意思のない肉体 クラゲのように静かにたゆたう 快楽を知らない(感じない)肉体 満ちる一体感(共鳴や共感)を知らないと同時に喪失を知らない 血凍る憎悪を知らないと同時に血沸き立つ愛情も知らない 魂はすでに悲鳴をあげている しかし悲鳴のあげ方…

六の宮の姫君4

知らないということ その事実が今更ながらやっと腑に落ちてきた 姫君の虚無を理解できる範囲で捉えようとし過ぎていた そう 姫は「知らない」のだ だから 六の宮の姫君2に書いたような「喪失」が存在しない 喪失しようがないのだ 「知らない」から感ずるこ…

六の宮の姫君3(修正)/或いは【「六の宮の姫君」と「羅生門」と「或旧友へ送る手記」】

遊びに気付く 六の宮の姫君の死の場面は朱雀門 朱雀門は 羅生門の対 北の朱雀門 南の羅生門(正確には羅城門) また 六の宮の姫君の死の場面は晩秋 羅生門には初秋の季語キリギリスが出てくる そして共に夕暮れ 雨止みという状況 秋の始まりと終わり 平安京 …

六の宮の姫君2

虚無に至る過程は書かれていない 冒頭よりそれはそこにあり 姫は既にそれと共に在る … 僕らは巨大な喪失の果て 初めて虚無と向かい合う そしてそこで初めて 宿命に否応なく従順な己(又はニンゲン)というものを見る 突き付けられる それでも僕らは歩く 歩く…

2020.8月 太宰治「貧の意地」

新釈諸国噺の冒頭に収められている 稽古を進める中 登場人物たちがどんどん愛おしく思えてきた不思議な作品 浪人たちの 貧に至る経緯が色鮮やかに見えてきたり 行燈に照らされた薄暗い天井のシミや 少しカビ臭いようなジメリとした室内の湿気を感ぜられたり …

六の宮の姫君1

虚無 まずはそれが見えた 無常観とも言える がしかし その… 宿命の全てを ありのままを ありのままに受け入れ 希望は一切見ず 諦観の極地に居 物質への喜びもなく 精神的な満足も知らず 何をも求めず 憎悪もない代わりにしかし愛する喜びも知らず それでいて…

断食

思うところあり断食 一日 水だけで過ごしてみる 酒は難しかろうと思っていたが容易にクリア 翌日には食欲が消えていて このまま何週間でも続けることができそうで 苦しい感覚は一切なく どちらかと言えば心地よい むむ と思う 妙なもので苦しいくらいが安心…

太宰治「貧の意地(新釈諸国噺より)」 語り 配信開始しました

新作です 先んじてこちらにご報告させて頂きます 後半捲し立てられる太宰のユーモアが小気味良い逸品 私小説に比べますと あまり論評にあがらない作品のように見受けられますが 僕はこういう太宰 好きです お時間ございましたら是非 30分ほどの語りです ♢太…

ぐわ

広い公園 池 木々 鴨 アメンボ 鷺 橋の上で 歩みを止める 鷺が鳴きながら飛び立つ 鷺は恐竜のように鳴く 恐竜の声は知らぬがまるで恐竜のように鳴いた 夕刻前の風がとても気持ち良い サラサラと そしてヒンヤリと 唸る暑さを忘れさせてくれる そのままじっと…

チラシ破棄

一昨日 2020.8/16 楽日であった筈の一日が あたりまえの日常として何事もなく終わる 折り込まれることなく 配られることなく 郵送されることなく 部屋の片隅に無言のまま なにかのオブジェのように山積みされていた チラシの束を破棄した 帆立と海老のボイル…

藤沢周平 ビール オスカー・ピーターソン 村上春樹 ビートルズ ビール うどんを冷水でシメ めんつゆ 生卵 ネギで頂く うまい 本当に 本当に うまい シンプルで 力強く 生きるチカラが湧く 晴天 空の青さが そして風が心地よく じぃぃぃっと淡い雲を見詰める …

2020.8/13 初日である 筈だった (記憶ノ肖像)

舞台を始めて30年 公演中止を経験するのはこれが初めてだ 3.11の時でさえ 翌週(或いは翌々週)に僕らは本番であったが 協議を重ね 上演を決めた (表紙の写真はその公演のもの) でも…降板はあった 古い古い記憶の1ページ あれも夏であった 僕は23 演出の要…

2019 世 amI × 身体の景色 vol.1  「班女」

班女を上演し ちょうど一年が過ぎる 導かれるように 行き着いた舞台 橋本信さんとのお約束をやっと実現できた作品 そしてキム・セイルさんと話し続けた共演がやっと実現できた作品 そして 若き才能たちと出逢えた作品 美しい狂気が 何もない空間に その静寂…

「更地」 ノート メール 抜粋

7月某日 細胞に刻み込まれた衝動 食欲があり 性欲があるように 死への恐怖があり 攻撃本能がある そしてそれら衝動は快楽として細胞に刻み込まれている ◯◯◯ 7月某日 肉体の衝動を 心(感情?)を軸に捉えようとしては誤る 心と乖離した先にあるもの それに目…